12001年7月2日 (日刊)
人間界との国交断絶
魔界門を閉鎖 勇者の乱入も 魔界外務省は一日午後三時、人間界との唯一の接点となっている魔界門を三百五十二年ぶりに閉鎖し、事実上人間界との国交を半永久的に絶った。ここ数ヶ月の間に多発した、人間たちによる魔族暴行事件を防ぐための最終的措置で、議会の賛成多数により承認されたものである。これに先立つ六月二十二日、外務省は人間界に対し警告文書をもって正式に抗議したが、人間界からの返答がきわめて曖昧なものであったことから、今回の措置に踏み切った。門はきわめて高い硬度を持つタイト・ロックで物理的に封鎖され、さらに警備員により二十四時間監視される。 調べによると、魔界門閉鎖の直前、またも勇者を名乗る人間四人組が魔界門から侵入し、警備にあたっていた警察官に取り押さえられた。四人は比較的おとなしく、「平和を守るためだ」「この地に骨を埋める覚悟だ」と意味不明な発言を繰り返していたが、このうち一人が「魔王を倒しにきた」と口走ったために身柄を拘束された。四人は今後、反省が見られれば数日で釈放されるが、人間界に帰るための魔界門はすでに封鎖されており、「最低でも五百年はこちらで暮らすことになるだろう」(警視総長)と見られている。
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