12001年10月14日  (日刊)
魔界タイムス


魔界門爆破される

勇者を逮捕 爆薬による犯行か?


 十三日午後十時すぎ、人間界との国境にあたる魔界門が、人間の自称「勇者」たちによって人間界側から爆破された。魔界門は約三ヶ月前の七月一日に、人間たちによる犯罪を抑制するため、魔界外務省によって封鎖されたばかりである。この事件で、魔界門の警備に当たっていた警備員十三名のうち、一人が頭に落石を受け意識不明の重態、十一名がやけどなどの軽い怪我を負った。また通報を受けて駆けつけた警察官のうち二名が、人間たちの襲撃により腹部を切られるなど重軽傷を負った。(関連記事30面)

 警備員の話によると、十三日午後十時五分頃、突然、地割れのような爆音とともに、タイト・ロックで封鎖されていた魔界門の中心部分に亀裂が入り、その直後火を噴いて爆発した。門そのものはそれほど被害を受けていないが、タイト・ロックの中心部分に巨大な穴が開いたため、翼のない人間たちでも簡単に出入りできる状態になっている。
 この爆破により、門の警備に当たっていたタバコ・ド・スモークさん(88)が頭に落石を受け意識不明の重態、ほかの警備員たちもやけどや擦過傷など軽傷を負った。門の周辺は一時騒然とし、その騒ぎを縫うように、爆破の犯人と見られる人間四人が人間界から侵入、「おれたちは勇者だ」「おまえらの悪運もこれまでだ」「言っておくが、悪魔の運だから悪運だ」などと叫びながら、駆けつけた警察官と衝突した。四人は数分で取り押さえられ、フェレス警察署に連行されたが、この衝突により警察官のビビディ・バビディさん(52)が腹部を切られ重傷、ストーン・G・ゴーレムさん(233)が全身数十箇所に切り傷を受ける軽傷を負った。
 鑑識の調べによると、爆破された岩石群から少量の火薬が検出されており、犯行は爆薬を使って行われた可能性がきわめて高いとしている。しかし起爆装置などが見つかっておらず、また門の人間界側は爆薬を使うには狭く危険であることから、爆薬以外の方法が取られたのではないかという説も出始めている。
 取調べに対し、勇者の一人が「爆薬ではない。メラゾーマでやった」という意味不明の発言を繰り返しており、関係者は「メラゾーマ」という薬品または物質が人間界に存在するかどうかを早急に調べるとともに、事件の事実関係の調査を進めていく方針。
 門の補修に関しては、封鎖に使われるタイト・ロックの不足から、当分は警備員のみによる門の閉鎖が続けられるという。


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