12002年1月13日  (号外)
魔界タイムス


魔王デルモン負傷

魔宮一時騒然 国防魔軍も苦戦


 十二日昼ごろ、「勇者軍」の二部隊約六百人が魔宮デーモンパレスを襲撃し、防衛軍を直接指揮していた魔王デルモン一世が投石攻撃を受けて負傷、近衛部隊に守られながら陣を離れた。幸い傷は浅く、二時間後には完治したものの、魔界中枢に攻撃の手が及んだという報せを受けて魔界中に動揺が広がっている。なお防衛軍は一時押されていたものの今では勢いを取り戻し、勇者軍を魔宮から追い出すことに成功したとの情報が入っている。

 魔界軍の切り札ともいうべき国防魔軍も苦戦を強いられている。正々堂々の戦いを重んじる彼らだが、勇者軍は背後からの不意打ちや泣きまね、死んだふりを多用しての傍若無人な戦いを繰り広げており、決定的な戦果を上げることができない模様。力では及ばないと判断した人間たちは国防魔軍の精鋭たちを「ボス」と呼び、一人に対して複数人で攻撃してくるという。国防魔軍第三隊長グリズリーズリグリリ氏は「実力的にはわれらが数段上、しかし卑怯さにおいてはやつらが数百段上」と苦い顔でコメント。氏は現在、頭部に受けた傷を治療するため救急病院におり、「やつらの命乞いを信じてはいけない、油断したところを鈍器で殴られたくなければ」と警告を発している。

お詫び
 昨日午後八時すぎに勇者軍の一団が新聞社を襲撃、一時占拠するという事件がありました。このため勇者軍によるにせ号外が出回り、皆様には大変ご迷惑をおかけしました。現在は国防魔軍の協力を得て新聞社の奪回に成功し、非常時業務を再開しております。不手際をお詫びいたします。





戻る