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私はまたも、あの老婆に呼ばれた。 どうやら気に入られたようだが、なにが気に入られたのかは分からない。 私が訪ねると、老婆は前置きもなく語り始めた。 「隣村に、金髪のジェニーという娘がおった」 「……」 「隣村に、金髪のジェニーという娘がお」 「それはもう聞きました」 「何も感じぬか。何も感じぬのかと聞いておる――!」 「はあ、まあ、その……外国人ですか?」 「いいや、隣村の生まれじゃ」 「ではハーフか何かで?」 「さよう。隣村始まって以来のことじゃが、その娘……」 「……」 「……埼玉と群馬のハーフだったそうじゃ……」 「……」 「……」 その夜は何事もなく静かに更けていった。 ・「奥二重の郷新し話」へ |