第三話:金髪のジェニー



 私はまたも、あの老婆に呼ばれた。
 どうやら気に入られたようだが、なにが気に入られたのかは分からない。

 私が訪ねると、老婆は前置きもなく語り始めた。

「隣村に、金髪のジェニーという娘がおった」
「……」
「隣村に、金髪のジェニーという娘がお」
「それはもう聞きました」
「何も感じぬか。何も感じぬのかと聞いておる――!」
「はあ、まあ、その……外国人ですか?」
「いいや、隣村の生まれじゃ」
「ではハーフか何かで?」
「さよう。隣村始まって以来のことじゃが、その娘……」
「……」
「……埼玉と群馬のハーフだったそうじゃ……」
「……」
「……」

 その夜は何事もなく静かに更けていった。

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