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焼肉よりデザートが美味い焼肉屋があるーーそんな魅惑的な噂を聞いて居ても立っても居られなくなり、多忙なおやつスケジュールをこじ開けて、日村の『プレミアムカルビ』に行ってきた。 まだ半分残っているホールのレアチーズケーキよ、頼む無事でいてくれ。 津田島から日村に向かう道を右に折れる。新幹線の陸橋をくぐるとその店はあった。 入るとすぐ、やたら笑顔の眩しい若い女が席に案内し、にこやかにメニューの説明をしてくれた。仕事が楽しくて仕方ない様子だ。その純粋な明るさに、俺は破邪魔法を食らって浄化された悪霊のような気分になる。 平日のランチセットにはすべてデザートブッフェがつくと聞き、店の名を冠したプレミアム焼肉ランチ1958円を注文する。 肉を待つ俺の目の前を、ロストテクノロジーの産物と思しきロボットが通り過ぎる。画面に笑顔を貼り付け、あてもなくフロアを徘徊する姿は、日村の在りし日の繁栄を偲ばせる。 肉が来る。結構美味い。特にカルビがいい。しかし今日の目当てはスイーツだ。肉を前菜の勢いでかき込むと、スイーツコーナーへと突進する。 ケーキやプリンといったスイーツが10種。すべて一皿に載せて席に戻る。 美味い。特にケーキ系の上品な甘さがいい。 スイーツとは別にアイスケースがあり、18種のアイスが収められている。店員に頼むと一度に2種類まで小皿に取って渡してくれる。サイズは小も選べる。全種制覇を目論む俺のような人間にはありがたい。 ケースの向こうにはあの笑顔の眩しい女。俺の前に並ぶ女児がキャラメルサレを注文すると、女はにこりと笑う。 「それね、お姉さんが作ったんだ。食べたら感想教えてね!」 「うん!」 少女漫画でしか見たことのない会話が目の前で交わされている。機械文明が崩壊した日村では、いまやこんな人情が見られるのか。 女児が去ったので、俺もキャラメルサレを注文してみた。一瞬流れる変な空気。女は俺に小皿を差し出す。 「冷たいのでお気を付け下さい」 俺は重々しくうなずく。受け取った皿は凍てつくほど冷たい。 一度に2種までしか注文できないので、全種制覇する頃にはアイスの小皿がテーブル上に回転寿司のように積まれていた。見ればどこのテーブルも回転寿司状態。焼肉屋、スイーツブッフェ、現れる景色は回転寿司。こいつはカオスだ。 個人的にはヨーグルト系のアイスが好みだった。柑橘系や果物系はかなり味が濃いため、組み合わせ次第ではもう一方の味がしなくなるので注意だ。キャラメルサレもフランボワーズにかき消された。 焼肉だけでも1200円はする内容。800円でデザートブッフェがつくと考えるとかなりお得だ。 俺は木枯らしの中、家路についた。 ・メニューへ |