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津田島に新たにできた店「BOTOOON」で昼飯を食った。 駅からやや離れた目立たぬ小道。しかしそこは津田島の隠れた名店エリアだ。 常に行列が絶えないラーメン屋、二歩。メンチカツが絶品、丸腰牛肉店。往年のギャグ「ラーメン、つけ麺……」を彷彿とさせる店名のハローエブリワン。空いているかと思いきや予約ですでに売り切れてたりする界隈屈指の味、ピザ屋冊子。 BOTOOONは二歩の隣という、超挑戦的な立地にできた店だ。今頃はその無謀が災いし、閑古鳥がむせび泣いているに違いない。 だが心意気は買ってやろうではないか。そう考えた俺は昼時、店を訪れ戸を開けた。 「いらっしゃいませー! えっと……あ! カウンターに一席空いてます! こちらでよろしければ!」 ……大盛況だった。なんかすみませんでした。 内装は西部の酒場を思わせる。俺の隣ではウェスタンハットの大男が、店の親父に盛んに話しかけている。この男がやたらと話が上手く、店が夜はバーとして使う客で賑わうこと、客入り次第で遅くまでやっていること、提供料理の由来、親父とオーナーとの関係、果ては親父がどこに住んでいるかまで聞き出してしまった。おそらく休暇中の諜報員か何かだろう。 注文を済ませた俺は、鞄から本を取り出した。飯は体を作り、本は精神を作る。俺の持論だ。本を読むほどに精神は豊かになり、世界は彩りを増す。さあ、この本は俺の精神をどのように形作ってくれるだろう…… 「ドゴーン! ダダダダッ! ヒューンドカァァァン!」 見開きいっぱいに書き殴られた擬音。思わず表紙を見返す。「機動戦士ガンダム」……そう、あの超有名アニメのノベライズだ。だが戦闘シーンが擬音だらけとは。効果音集のノベライズかと思った。 ザクがマシンガンでジムを大破させる様を、擬音だけで脳内再生しようと躍起になっているところへ、飯が来た。スパイシーミートボールプレート1320円。 一口食べた俺の口内にズバババァンと衝撃が走る。溢れ出る旨味。スパイスのふくよかな香り。それらがダダダダッと食欲を刺激し、ドカーンとなる。皿に添えられた香辛料をつけて食うと……これがガゴオオン! ズバババァンとなって、俺は思わず天を仰いでゴボォォォ。 美味い。美味い。これは美味い。え、もう終わり? 3つじゃ足りん。もっと食いたい。というか酒が欲しい。絶対酒が合うぞこれ。 ここらの店にはない味付け。その貴重さだけでもウケそうだ。現に店は満員。夜もおそらく賑わっていることだろう。いずれ隣の二歩同様、常に行列ができるようになってもおかしくない。 津田島の新たな可能性を感じつつ、俺はギュギュイーンと家路に着いた。 ・メニューへ |