マイシューマイ





津田島駅近くにあるシュウマイ専門店「マイシュウマイ」で昼飯を食った。

今日はしばらくぶりで歯科検診を受けてきた。
「何か気になることはありますか?」と歯科衛生士の女に聞かれ、
「特定の食い物を噛んだときだけ歯が痛むのだが」
「冷たいものですか?」
「納豆に入っている小ネギ」
と事実を述べたところ、「すごく限定的ですね」と大いにウケたので、「小ネギか……あるいは鰹節か」と追い打ちで笑いを提供した。いや別にウケを狙ったわけではないのだが。
歯も歯茎も「滅多に見ない」と言われるレベルで健康で、納豆に入った小ネギあるいは鰹節の件はもう少し様子を見ることになり、俺はシュウマイ屋に向かった。

店内で昼を食うならちょいめしセットかちょいのみセットの二択。心が酒に傾くのをこらえ、680円のちょいめしに、50円の中華スープをつける。

イートインスペースは立ち食いだ。カウンターの下に荷物用のフックがある。
壁には店の由来が書かれた張り紙。あまりシュウマイが好きではなかった男が、とある店のシュウマイを食って覚醒し、修行を重ねてついには自分で店を持つに至った話が書いてある。実を言うと俺も、シュウマイはそれほど好みではない。すると俺もこの店のシュウマイを食って目覚め、シュウマイ道を爆走することになるのだろうか。

あまり待たずにシュウマイ……ではなくザーサイがのった飯碗が出てくる。少し時間差でシュウマイ登場。間髪入れずに「お熱いのでっ! お気をつけ下さい」の言葉とともに、店主がスープ椀を捧げ持つような格好で持ってくる。ノリ的にスープが主役に見える。

まずはシュウマイ……ってこれよく見たら山やん。
そびえ立つ中華風の絶峰4峰。仙人が住まうかに見えるその頂きを、情け容赦なくガブリといく。
瞬間、かいま見える仙人の桃源郷。遅れて口内にほどける芳醇な肉汁。
ああ……うまっ。間違いない。これ旨いやつだ。
しっかり味付けされているから、醤油なしでいける。こうなるとこのボリュームも関係ない。いつの間にか2つの山を食い切っていた。
卓上には酢醤油や、中華スープにつけるやり方など、シュウマイの楽しみ方がいろいろ書かれたボードがあるが、たっぷり添えられた芥子をつけてそのまま食うのが一番旨い。ああ旨い。

あとなんとなくで追加した中華スープ。これがまたいい。最近行った中華料理屋のはどこも、いかにもオマケな感じの味だったが、ここのは素朴ながら丁寧に味付けされている。子供の頃にやたら憧れたのは、こんな味ではなかったか。半世紀の時を越え来たる懐かしき味。

1個100円でシュウマイを追加できるという。立ち食いゆえに落ち着かず、つい敬遠してしまったが、座って食っていたら2つは追加していただろう。あと飯も。いやそこまできたらスープ付きちょいめしセットを丸ごとおかわりでいいじゃないか。だがそれではもはや、何が「ちょいめし」なのか分からないじゃないか。

もう一度食いたいと思えるシュウマイに出会ったのは初めてだ。
これはことによると、俺がシュウマイ道を爆進する日もいずれ来るのかもしれない。
そして無論、シュウマイを食っても俺の歯は痛まなかった。様子見、続行だ。


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