パンの間柴



 

津田島駅前の「パンの間柴」でいろいろ買ってみた。

ここのパンは過去に何度か買っているが、この日は4年の付き合いになるLISAを連れて来店。この日は穏やかな好天の週末、しかももろに昼時だったが、案外すぐに店に入れた。よく行列ができる店だが、平日の方がかえって混んでいるのだろうか。

奔放で自由な4歳児、LISAが一発で選んだのはフルーツミックス。それだけで至福を与えてくれる生クリームに、ゴロゴロと果物が盛り込まれた、外しようがない一品。さすが、寿司屋でイクラ以外すべてを拒絶した娘だ。その選択眼に揺るぎはない。

俺は未トライのパンから2つを選んだ。他に珈琲クリームなんとかというのも試したかったが、メニューに見当たらなかった。
そう、この世界ではあらゆるものが移ろい、変わっていく。その定めからは誰も逃れられない…人も街も、コッペパン屋のメニューも。

帰宅後すぐに昼食。個々のパンの中身を写真に撮ろうと思ったが、パンをめくったらあまりよい見た目ではなかったので断念した。分かりづらい集合写真でご容赦願いたい。

俺のチョイスはこれだ。

「コンビーフポテト」
今までこの店のパンは20種類ほど食べてきたが、コンビーフは敬遠してきた。なぜかコンビーフの風味が好みでないのだ。
しかしこれはあまりコンビーフコンビーフしていない。どうやらその秘密はポテトにあるようだ。ポテトとマヨネーズがコンビーフの個性をやんわりと包み込み、全体を調和させている。
ポテト…じゃがいも…そうか、これが大地の力、女神ガイアの包容力か。どうでもいいがうまいぞこれは。
コンビーフ嫌いでも食べられるコンビーフパン。いったいどれだけの人間に刺さるか心もとないフレーズだが。
隣で無言でフルーツミックスを頬張っていたLISAがちらちらとこちらを見る。某ゲームで倒されたモンスターが「仲間になりたそうにこちらを見ている」という表現があるが、おそらくこんな目だろう。一口食べさせると「…おいしい」と呟き、またこちらを見る。見ては食べ、食べては見、おそらくコンビーフの1/4はLISAの胃袋に収まった。幼児にもうまいものはうまいのだ。

「ハムカツ」
未トライの理由、それは普通すぎるから。
まるで期待していなかったが、食べてみるとこれまたうまい。甘めのソースがいいアクセントになっており、気づけば完食していた。
なおLISAには少々味が濃かったようだ。

「キャラメルつぶつぶピーナッツ」
珈琲なんとかの代わりに選んだのがこれだ。コーヒーはブラック派の俺だが、キャラメルという言葉には目がない。
味はキャラメルというより、生クリームとピーナッツバター、という感じ。ピーナッツの香ばしさがコーヒーによく合う。


改めて現在のメニューを確認してみると、今まで試してきたパンの1/3はなくなっていた。どうやらこの店の時間の流れは外の世界よりも速いようだ。
この店のメニュー全制覇はあまり意味がなさそうだ。しかしそれはそれで楽しみがいがある。なにしろ今まで食べたパンのほとんどはうまかったのだ。これからもうまいパンばかり出てくるのはまず間違いない。


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