バキ考

 グラップラー刃牙、というマンガをご存知だろうか。いわゆる格闘マンガで、各キャラの関節の曲がり方が少々おかしいのだが、しばらく読んでいると慣れてしまって登場人物にほれこんでしまう、そんなマンガである。
 格闘の大会「最大トーナメント」に集まった猛者どもの戦いを描いた「グラップラー・刃牙」と、その続編にあたる、5人の死刑囚との戦いを描いた「BAKI」。今回はその登場人物の強さ順について書く。ネタバレ必至なので読みたくない人はここでお帰りいただきたい。

 さて、メインの話をする前に、まずはバキの登場人物を紹介しなければならない。正直、一言二言で各キャラの魅力を語れるものではないので、詳しくは実物を読んでほしい

範馬勇次郎
(はんまゆうじろう)
別名「オウガ」または「史上最強の生物」。いちおう人間。でもって主人公バキの親父。
ロシアあたりに出向いてシロクマを素手で殴り倒してみたり、戦場に飛び込んで素手で軍隊を壊滅させたりとやりたい放題な人。

愚地独歩
(おろちどっぽ)
別名「虎殺し」または「武神」。
最強の格闘家という触れ込みなのに、いまいちそれっぽく感じられない人。昔虎を素手で倒したという伝説から「虎殺し」と呼ばれているが、バキのメインキャラなら虎殺しぐらい誰でもあっさりやってのけるのではと疑わずにはいられない。

愚地克巳
(おろちかつみ)
別名「空手を終わらせた男」。空手を完成させたという意味らしいが、そのわりに影の薄い人。独歩の息子。
決して弱いわけではないのに、烈海王に一撃で倒されて以来、やられ役として定着してしまったかわいそうな人。

加藤清澄
(かとうきよずみ)
私は彼に敬意を表して「カトゥー」と呼んでいる。
並みの人間としては強いほうなのに、他の登場人物たちが強すぎるために最弱という印象しかない。最大トーナメントではサルこと夜叉猿に一発殴られただけで気絶したが、一方で強敵ドリアンを泣かすという驚くべき快挙を成し遂げた。

渋川剛気
(しぶかわごうき)
別名「達人」。
合気の達人で、相手がどんなにすさまじい攻撃を繰り出してきてもそっくり相手に返してしまう。小さな体で大きな人を次々投げ飛ばす爽快なおじいちゃん。

烈海王
(れつかいおう)
中国拳法の最高峰「海王」の名を継ぐ人。
とんでもなく強いくせに、軽く挑発されただけで激怒する短気な方。細身ながら顔がごつい。

ドリアン 5人の死刑囚の1人。独歩、克巳、加藤らが束になってかかっても倒せなかった人。加藤に瀕死の重傷を負わせたが、そのあと独歩にコテンパンにされ、カトゥーに泣かされ、烈海王にとどめをさされて精神が崩壊した。

アンドレアノフ・
ガーランド
ガタイのいいレスラー。最大トーナメントでは自分よりはるかにデカいアナコンダを素手で仕留めた。

夜叉猿
(やしゃざる)
どでかいサル。たまに出てくる。乱暴。

アナコンダ どでかい蛇。

範馬刃牙 主人公。


 それではメインの話題に移ろう。彼らの誰が誰より強いのか、という話である。5人の死刑囚編になって、とある発言からついに彼らの強さ順が決定したのである。

 問題の発言は、5人の死刑囚編で独歩とドリアンの対戦中、克巳によって発せられた。独歩の「虎殺し」に関する話がひとしきり持ち出された後、じつは虎殺しは伝説ではなく、かつて独歩が本当に素手で虎を殺した逸話から来ているのだ、と明らかにされる。最大トーナメントの上位進出者、そうでなくてもバキのメインキャラなら虎殺しくらい誰だってできるだろうと思っていたのだが、ここで克巳が次のようにつぶやいたために考え違いだと判明した。

「本当だったのか……」

 「空手を終わらせた男」克巳ともあろうものが、虎殺しごときに本気で驚いているのである。この驚きには「自分にはとても虎殺しなどできない」という含みがあるように思われた。彼の驚きは本物だったのである。

 以下、この発言に基づいて彼らの強さ順を検証してみよう。

    <確定要素>
  1. オウガはあからさまに最強。
  2. 達人は独歩に勝った。
  3. 烈海王は克巳に一撃で勝った。
  4. 克巳はサルに圧勝した。
  5. カトゥーはサルに一撃で負けた
  6. カトゥーはドリアンを泣かした
  7. じつはドリアンはこれまで一度も勝ったことがないという設定なので、ドリアンは最弱

    <推論要素>
  8. 達人は相手の攻撃が激しいほど、楽々と攻撃を返す。
  9. 烈海王は激怒しやすい。
  10. アナコンダが素手で倒された時、克巳は特に驚いた様子がない。
  11. そのくせ虎殺しの話を聞いた克巳は素で驚いた
  12. アナコンダを殺したガーランドは最大トーナメントでトップクラスの実力を持っていた。
  13. ガーランドはアナコンダにそれなりに苦戦した。
  14. 克巳はトーナメント3回戦まで進んだが、2回戦目は辛勝だった。

    <推論>
  15. 8と9から、逆上しやすい烈海王が達人に勝てる可能性は低い。よって達人は烈海王より強い。
  16. 10と11から、アナコンダ殺しより虎殺しの方がすごい。よってアナコンダより虎の方が強い。また11から克巳より虎の方が強い
  17. 12と14から、克巳よりガーランドの方が強いと推測される。
  18. 13と17から、克巳よりアナコンダの方が強いか、同等の強さである。

    <結論>
    強い順に、
    オウガ>達人>烈海王>独歩>アナコンダ≧克巳≫サル≫カトゥードリアン


 こうして「空手を終わらせた男」克巳はサル以外の動物に勝てず、カトゥーは最弱の地位を免れるという結果になった。
 喜べカトゥー。きみはもうビリじゃない


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